イタリアを旅していたある日、現地の友人の家庭に招かれたときのことでした。友人の奥様が、亡き母から大切に受け継いだレシピで作ってくださったのが、チョコレートサラミという素朴で美しいお菓子だったのです。
イタリアの家庭料理の一つであるチョコレートサラミは、まさに家族の絆を表現する食べ物といえるでしょう。各家庭で使う材料も、加える具材も異なりながらも、母から娘へ、そしてその娘からまた次の世代へと、連綿と受け継がれていく代々のバトンのような存在なのです。この美しい伝統に深く感動した私たちは、その精神をMONTRÉSORとして表現することを決意しました。
私たちのチョコレートサラミに選んだのは、ペルーの限られた地域でのみ育つカカオブランコ、別名ホワイトカカオです。この希少なカカオは、豆類とも果実類とも見事に調和する特別な特性を持っています。一つひとつの素材がお互いを引き立て合い、決して主張しすぎることなく協調しあう、ベストでありながらシンプルな配合を追求しました。
このチョコレートサラミの魅力は、その多面性にあります。昼下がりには子どもたちと一緒に囲んで、純粋なスイーツとして楽しむことができます。そして夜が更けた頃には、夫婦や大切な友人とワインを傾けながら、大人の時間を彩る特別なお菓子として姿を変えるのです。
その断面を見ると、まるで本物のサラミのように、様々な具材が美しいモザイク模様を描いています。この見た目の楽しさもまた、イタリアの家庭が代々大切にしてきた「食卓を囲む喜び」の表現なのです。一切れ一切れに込められているのは、家族の温もりと、時を超えて受け継がれる愛情の物語なのです。
